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中国大陸古文化研究

第1集~10集・合冊復刻

中国大陸古文化研究

華南民族学・大陸東南アジア研究の原点となった学術誌を完全復刻。民族・歴史、考古・神話・民話・言語・美術など学際的地域研究。

著者 中国大陸古文化研究会
ジャンル 定期刊行物
出版年月日 1995/08/31
ISBN 9784938718411
判型・ページ数 B5・800ページ
定価 本体18,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

総目次
復刻版刊行にあたって (白鳥芳郎)

      ●第1集(1965年3月31日)

序文  
雲南白族の族源問題について (藤沢義美)
中国の羽衣説話──日本の説話との比較 (君島久子)
Wilhelm KOPPERSの中国南部少数民族の研究について (大林太良)
宋代儂智高の事蹟(1) (小川 博)
明代土司制度研究ノート (岡野昌子稿/守屋美都雄補)
ナシ(モソ)の母系組織 (A・M・レシェトフ著/斉藤達次郎訳)
華南少数民族の生業形態の分析と類型 (白鳥芳郎)
ヤオ族の農耕儀礼に関する覚え書──年中行事と周年的祖霊祭 (竹村卓二)

      ●第2集(1965年10月13日)

雲南の苦聡族と北部インドシナの狩猟民文化 (大林太良)
宋代の儂智高の事蹟(その2) (小川 博)
中国の経済文化類型(1) (林耀華・N.N.Cheboksaroav著/斉藤達次郎訳)

華南非漢民族言語研究に関する覚書 (白鳥芳郎)
現地調査報告 フィリピンMajority Groupsを中心とした家族と社会 (菊地 靖)
中国大陸古文化研究会員著作目録(1)──主として中国に関する業績

      ●第3集(1966年5月10日)

無頭神小論──山海経の民俗学的一考察 (伊藤清司)
ロロ族の経済生活について (加治 明)
流米洞伝説──東亜における奇蹟の米伝承の一研究 (大林太良)
宋代儂智高の事蹟(その3) (小川 博)
中国の経済文化類型(続) (林耀華・N.N.Cheboksaroav著/斉藤達次郎訳)
ミャオ族の絵姿女房譚とその背景──高神信仰との関連──常見純一  41

      ●第4集(1967年5月1日)

中国文化の若干の基本的観念 (ベルトールト・ラウファー著/加治 明訳)
ミャオ族・ヤオ族の民族形成論の若干の問題 (大林太良)
宋代儂智高の事蹟(その4) (小川 博)
中国の経済文化類型(完) (林耀華・N.N.Cheboksaroav著/斉藤達次郎訳)
『広西通志』を中心として見たヤオ族とチュアン族
  ──広西省の山地渓谷栽培民の適応様式と共生関係の一側面 (竹村卓二)

      ●第5集(1971年5月27日)

広西通志引用書略解 (和田久徳)
浙江観潮考 (大林太良)
「竹取物語」源流考(上) (伊藤清司/百田弥栄子)

      ●第6集(1972年5月13日)

洞庭湖の竜女説話──浦島説話に関する新資料 (君島久子)
石合戦雑記 (大林太良)
「蜑民」の異民族出自説をめぐって (可児弘明)
「竹取物語」源流考(下)付「竹姫説話」全訳 (伊藤清司/百田弥栄子)

      ●第7集(1975年7月15日)

動物の築いた城 (大林太良)
楚の神話の系統に関する一試論 (安倍道子)
タイ諸語音韻史研究に占める華夷訳語の役割 (新谷忠彦)
古代僮族社会性質試探(民族団結1963-2・3) (王 天 奨著/岡田宏二訳)
ラオスの苗族とその言語 (新谷忠彦)
なつめとオタマジャクシ──『山海経』の研究断片 (伊藤清司)

      ●第8集(1978年10月28日)ナシ族特集

はじめに (白鳥芳郎)
納西(〓些)族の伝承とその資料──「人類遷從記」を中心として (君島久子)
人類遷從記 (和 志 武整理/君島久子・新島 翠共訳)
Na-Khi族の葬制 (斉藤達次郎)
MO-so (Na-Khi)族の文献中の洪水説話 (J. F. Rock著/村井信幸訳)
不死の薬を尋ねて (和 即 仁整理/君島久子・伴 幸子共訳)
納西族の動物物語 (劉 釖捜集/君島久子・橋本善信共訳)
納西族の母系家族 (宋 恩 常著/百田弥栄子訳)
最近の「中国大陸古文化研究会」例会
編集後記 (常見純一)

      ●第9・10合併集(1980年3月10日)
華南・大陸東南アジアにおける山地民及び平地民の歴史民族学的研究

はじめに (白鳥芳郎)
中国南・西南部少数民族の現状と展望 (白鳥芳郎)
宋代華南の土着種族について (岡田宏二)
范成大の桂海虞衛志の蛮志について (小川 博)
〓辺タイ族とその動静に関する若干の問題──元明両代のパイ・イを中心として (喜田幹生)
明代広西の土巡検司について (谷口房男)
『連陽八排風土記』と『連山綏〓庁志』の資料的意義──清朝のヤオ族地方志の紹介 (竹村卓二)
マレーシアの稲作儀礼 (岩田慶治)
貴州苗族の清水江に於ける龍舟競渡 (君島久子)
眼のシンボリズム──西南中国少数民族の創世神話の一研究 (伊藤清司)
若水源流考大林太良  91
雲南徳宏地域における〓族の仏教儀礼について (加治 明 )
すばる星の結婚とその背景──〓族における二つの”七星姉妹”婚姻譚の関係と世界観 (常見純一)
華南・東南アジア大陸のソ連の学者による民族学的研究──民話を中心にして (斉藤達次郎)
中国新石器時代文化の研究史 (量 博満)
南詔・大理国の美術史料に見る南方的要素 (伊東照司)
西江、ソン・ホン(紅河)水系流域における銅鼓の分布 (近森 正・市原常夫)
ルソン島北部アトル村の壺形土器──その製作法についての覚え書き (青柳洋治)
「中国大陸古文化研究会」例会
編集後記  

中国大陸古文化研究会と華南民族学 (加治 明)   
著者別論文一覧

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内容説明

華南民族学・大陸東南アジア研究の原点となった学術誌を完全復刻(1965~80年刊行)。民族・歴史を中心に、考古・神話・民話・言語・美術など、当時気鋭の研究者が学際的に行った地域研究は今日の基本文献。付総目次。


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復刻版刊行に寄せて 白鳥芳郎


このたび、『中国大陸古文化研究』の復刻版が刊行される運びとなったことは誠に喜ばしいことであり、ここに中国大陸古文化研究会を代表し、一言御挨拶を申し上げる次第である。


本書は同研究会が、昭和40年(1965)から昭和55年(1980)に至る15年間に刊行し続けた会誌『中国大陸古文化研究』全10集を、合冊の形で復刻したものである。華南諸民族に関する研究がはなはだ盛んとなった今日、その揺籃期に発展の主要な役割を担った本誌の全容を回顧することは実に意義深いものと思われる。


さて、私が昭和16年(1941)東大の東洋史学科を卒業した時、提出した論文の題目は「漢代における南越王国経略」というものであった。当時、華南史に関する卒論は私のものが最初ではなかったかと思うが、そのことからもこの分野の研究がいかに未開拓であったかが知られよう。終戦直後の混乱期を経た昭和24年(1949)に、東大の山本達郎先生を中心に東南アジア史研究会が再開されたが、華南・東南アジア地域への関心はまだ低かった。ちょうど上智大学に奉職していた私は文学部史学科で東洋史の研究・教育に従事していたが、しばらくは文字通り孤軍奮闘の思いで、華南史とりわけ西南中国の民族史の研究に励んだものである。しかし十年ほどの歳月の中、ようやく私の東洋史のゼミの学生諸君の中からもこの分野の研究に進もうとする学徒が現れることになった。また私自身は昭和34年(1959)、ウィーン大学民族学研究所の客員として招聘され、学生時代から啓発され続けてきた独・墺の民族学の最新研究に直に触れる機会を得たのである。歴史学と民族学両面にわたる私の研究方法は、この3年間の留学で結実をみたといっても過言ではない。


一方、日本でも華南諸民族の研究を志す若い研究者たちが活動を続けていた。昭和35年(1960)の在ウィーン時に学友竹村卓二君から手紙が届いた。この方面に関心を寄せている研究者を中心に研究会を続けてきたが、この度「中国大陸古文化研究会」の名称で正式に発足させたい、との知らせがあった。欧州の活発な研究活動に刺激を受けていた私は、双手を挙げて賛成する旨の返事をしたためた。その後帰国した私もこの研究会のメンバーとして活動に参加したことはいうまでもない。そして昭和40年、若き研究者を中心に積み上げられた研究成果を世に問うたのが本誌創刊号だったのである。以来、都立大学、慶応大学、上智大学と発行元を変えながら、所属大学や学問分野を異にする研究者が本誌を舞台に最先端の業績を次々と発表し、さながら学際的な学会誌の観を呈していったことは、本書を御覧頂ければ一目瞭然であろう。


今日の華南史および華南文化史研究の隆盛を見るにつけ、本誌はまちがいなくその原点であったと思われる。本研究会が昭和35年の発足以来育んできた果実の大きさに感慨を覚えるのは、私一人ではあるまい。ともあれ本書がさらに多くの研究者や読者に活用されることを願い、また本書刊行を契機として、斯学の一層の発展を期待する次第である。


最後に、本年が中国大陸古文化研究会発足35周年、本誌創刊30周年の嘉節にあたり、本誌の復刻刊行を諒とせられ、原文の誤植等の訂正にお骨折りいただいた会員諸氏、ならびに版元の風響社に対して謝意を表し、刊行の辞に代えたい。


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凡例
〈復刻に際して以下の点を修正した〉
*刊行当時に正誤表の付されていたものは本文当該箇所を改めた。
*上記以外でも著者より誤植、誤記の指摘があったものは本文を改めた。
*以上の修正は刊行当時の印刷事情等で校正が十分でなかったことによるもので、原則として誤植の修正を範囲としている。
*論文に関して著者より注記が寄せられたものは、*印を付して論文末尾に加えた。

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