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変容する華南と華人ネットワークの現在

変容する華南と華人ネットワークの現在

北東アジアなど空間的多様性の中で、ネットワークの現在進行形を描きつつ、琉球華僑など歴史的淵源の多重性をも抉る、注目の論文集。

著者 谷垣 真理子
塩出 浩和
容 應萸
ジャンル 社会・経済・環境・政治
シリーズ 人類学専刊
出版年月日 2014/02/20
ISBN 9784894891937
判型・ページ数 A5・506ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき

●第1部 華南地域論

返還後の香港――中国内地との関係に注目して(谷垣真理子
はじめに
一 香港の周辺都市の発展
二 香港と中国内地との協力の枠組み
三 越境するモノと金、人
四 交流の増大がもたらす摩擦
五 香港の新たな政治潮流
おわりに

中国の海洋意識が大陸文化と遭遇するとき――閩南人の海洋発展を事例として(荘 国 土(杉谷幸太訳)
はじめに
一 海洋文化と海洋意識
二 閩南人──中国で最も海洋意識を有し海洋発展史の主体となった集団
三 中国と西洋の海洋意識の異なる命運──海洋意識と大陸文明の遭遇
おわりに

香港とマカオ、珠江デルタにおける地域協力(陳 広 漢(崔学松訳)
はじめに
一 香港・マカオと中国内地との経済貿易関係の発展段階
二 広東省と香港・マカオ地区の経済協力とその発展過程
三 広東省と香港・マカオの地域間協力の重点目標と課題
四 広東省と香港・マカオにおける地域間協力深化のための六つの調和

華南研究――歴史人類学の実践について(程 美 宝(土肥歩訳)

江西と東南アジア──真空教と帰国華僑を中心に(飯島典子
はじめに
一 真空教とその伝播
二 交通網の整備
三 江西への「帰国」華僑
おわりに

●第2部 北東アジアを舞台にしたネットワーク

コンブの旅とコンブ革命――ロシア極東、日本列島、中華世界(神長英輔
はじめに
一 コンブの旅 その一 日本列島から中華世界へ
二 コンブの旅 その二 ロシア極東から中華世界へ
三 コンブの旅 その三 中国沿海部から内陸へ
四 コンブの旅 その四 コンブ革命
おわりに
樺太華僑史試論(小川正樹
はじめに
一 樺太華僑の先行研究
二 資料の中の樺太華僑
三 戦前の樺太華僑の生活状況
四 戦後の樺太華僑社会
おわりに

歴史認識のネットワーク化へ──北海道〜北東アジア〜アラスカ先住民の生存の三〇〇年(坂田美奈子
はじめに
一 植民地的接触以前の先住民交易ネットワーク
二 毛皮交易の時代──激動の一八世紀
三 文化変容と人口減少の先住民的コンテクスト
おわりに──歴史認識のネットワーク化へ

北東アジアにおけるエスペラント運動と国際連帯活動(崔 学 松
はじめに
一 北東アジアのアナーキズムとエスペラント
二 中国革命家と在華朝鮮人
三 エロシェンコと在華朝鮮人
おわりに

中日韓安全保障戦略協力と北東アジア安全保障体制の構成(魏 志 江
一 北東アジア安全保障協力体制の核心
二 北東アジア安全保障体制の構築の基本保障
三 北東アジア安全保障システム確立の基盤
おわりに

●第3部 変容する広東

広東──急速な発展における挑戦と矛盾(鄭 宇 碩(石塚洋介訳)
はじめに
一 二つの将来計画
二 環珠江デルタの地域的経済協力
おわりにかえて

珠江デルタの地域一体化――経済社会の改革と発展を中心にして(毛艶華・楊本建(伊藤博訳)
はじめに
一 インフラ建設による一体化──「一時間生活圏」の構築
二 産業配置による一体化──現代産業モデル地区の建設
三 基本公共サービスの一体化──良好な発展環境の創出
四 都市と農村の計画一体化──世界レベルの都市群建設
五 環境保護の一体化──質の高い生活圏創出

高等教育における香港と中国の一体化――香港の大学による中国内地学生の受け入れに着目して(日野みどり
はじめに
一 内地学生受け入れの経緯
二 内地学生受け入れのしくみ
三 内地出身学生の自己認識──聞き取り調査から
おわりに

三灶島の人々──日本、台湾、沖縄の人々との邂逅(和仁廉夫
はじめに──問題の所在
一 日本海軍と三灶島
二 第六基地建設と大霖鉱山
三 占領下の三灶島社会
むすびにかえて──三灶島同郷会と戦争体験

分断される琉球華僑社会――第二次大戦から沖縄返還にかけての時期を中心に(八尾祥平
はじめに
一 一九五〇年代──米国施政権下における琉球華僑の労働市場への参入
二 一九六〇年代──「技術導入事業」による琉球華僑の労働市場参入の多様化と細分化
三 一九七〇年代──沖縄返還と日華断交による影響
むすびにかえて

●第4部 人がつなぐネットワーク

地域的キリスト者家族からグローバル家族への展開――華南の関・容・張三家族の場合(容 應 萸
はじめに
一 華南の三キリスト者家族
二  華南から国内各地への移住
三 ディアスポラ家族化への過程
四 グローバル家族への展開
むすびにかえて

海南島における海外交通と回族の形成(廖 大 珂(小池求訳)
はじめに
一 海南島の東西海上交通に占める地位
二 海南島の海外交通の発展
三 外国ムスリムと回族の形成

「マレーシア華人」とは誰か?――マレーシアの映画人に見る華人性と混血性(山本博之
はじめに
一 マレーシア華人研究と混血性
二 マレーシアの混血者研究
三 マレーシアの公認民族制度
四 ファティマとラシドの娘たち──華人からマレー人へ
五 チョウリー家──華人とインド人のあいだで
むすびにかえて

マカエンセという人々──「中国の少数民族」もしくは「マカオ人」として(内藤理佳
はじめに
一 マカエンセの「定義」
一 マカエンセの歴史
三 マカエンセ文化と関連組織
四 マカエンセの現状(一)──社会的地位の変容
五 マカエンセの現状(二)──ポルトガル語教育
六 マカエンセ・コミュニティの危機
むすびにかえて──「中国の少数民族」もしくは「マカオ人」として生きる道

心の地図を描く――疾走する周縁への旅:マカオ、そして珠海(塩出浩和
はじめに
一 阿玲のマカオ
二 虹橋に行った娟
三 軽やかに通過するマカオ
四 結語

あとがき
索引

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内容説明

ダイナミックな発展を遂げる華南。そこをハブとした繋がりは、かつての華僑イメージを大きく覆す。北東アジアなど空間的広がりの多様性の中で、華人ネットワークの現在進行形を描きつつ、琉球華僑など歴史的淵源の多重性をも抉る、注目の論文集。

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まえがきより

 ……さて、本書が扱う華南とはどこを指すのであろうか。本書の編者の三名は香港とマカオを主たる研究フィールドとしている。本書も全体を通じて、香港やマカオに関する論文が多いが、この問いに明確に答えるのは難しい。
 多くの人は、香港・マカオ・台湾・広東省および福建省を連想するであろう。また、ある人は江西省・湖南省・広西チワン族自治区・海南省・四川省・貴州省・雲南省を華南に含めるかもしれない。本書では、「華南」という地域を必ずしも固定的にはとらえていない。理由は二つある。
 第一に、「華南」ということばがもたらすイメージは一人ひとりの人間の生活史・研究史・精神史にかかわる。本書では認識の統一よりも多様性を大切にしたい。
 第二に、何を目的とするかによって、「方法としての華南」は異なってあたりまえである。環境に依存した農漁業や疫学の分野であれば、生態系と気候に基づく区分が採られるだろう。人の移動や貿易のネットワークを解明したいのであれば、大陸部東南アジアの北部は「華南」に含めてもよいであろう。
 華南は中華圏域の南端であると同時に、東南アジア圏域の北端でもあり、アジア太平洋地域の十字路である。これは地理的な配置にのみ着目しているわけではない。歴史的に形成されたこの地域の「機能」が重要なのである。
 このようなやや融通無碍な地域観は、二つの科研費プロジェクトを経て共有されていった。編者と執筆者の多くは、科学研究費 基盤(C)「華南地域社会の歴史的淵源と現在」(二〇〇七年度〜〇八年度)と同 基盤(B)「北東アジアから東南アジアを結ぶ華人ネットワークについての研究」(二〇〇九年度〜一一年度)に参加した。……
 本書はこうした二つのプロジェクトの研究成果を世に問うものであり、現段階での華南研究の日本におけるひとつの到達点をあらわすものである。
 本書は四部に分かれる。
 第一部は「華南地域論」と題し、各地の華南研究の紹介を含めて、華南地域論に関する論稿を集めた。第二部は「北東アジアを舞台にしたネットワーク」と題し、従来の華人ネットワーク論ではあまり扱われてこなかった北東アジアと華南との関係に言及した。最初の三本はロシア極東、環ベーリング海地域に題材をとっており、大日本帝国の消滅ともに封印されてしまったネットワークを再び可視化させている。第三部は「変容する広東」と題し、ネットワークの起点である華南地域の変容を追った。所収論文は経済・社会・歴史と、四部のなかではもっとも多様な分野に跨る。日本と華南をつなぐ媒介項としての台湾や沖縄についての論考は、第三部に収められている。第四部は「人がつなぐネットワーク」と題し、個人史や家族史のレベルから華人ネットワークを描き出す。
 本書の特徴としては次の二つがあげられるであろう。
 第一に、本書では華人ネットワークを扱うが、ビジネスネットワーク論については他の研究書に譲り、ここでは扱わない。すべての華人がビジネスにたずさわるわけではない。本書ではディシプリンの多様性もさることながら、個人史や家族史のレベルにおりていくことを重視した。ミクロな事例を追跡してはじめて、ステレオタイプ的固定観念から研究が解放されるのではないだろうか。マレーシア華人の混血性、キリスト者家族のグローバル展開、マカエンセの将来、マカオの中国大陸からの移民労働者の事例は、さまざまな問題関心を読者に与えてくれるであろう。
 第二に、華南という地域を固定的にとらえていないことである。ロシア極東、アラスカまでの地域をとりあげたことで、華南のネットワークがより多様であることを指摘している。一見関連性の薄い「北東アジアから東南アジアまで」であるが、歴史的には戦前の南洋や旧満州を考えれば、現実性のあった組み合わせであった。また、日本と華南のつながりを考える際、台湾や沖縄という媒介項的存在は重要である。今日なお、台湾の日本語人材はその他の地域よりはるかに豊富である。日本企業が華南に展開する際に、台湾系企業あるいは台湾系企業人とパートナー関係を組むことが多いという。……

 

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編者紹介
谷垣真理子(たにがき まりこ)
1960年、大分県生まれ。
1989年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。
専攻は、地域文化研究、政治学、現代香港論。
現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。
主著書として、『原典中国現代史:台湾・香港・華僑華人』(岩波書店、1995年、共編著)、『模索する近代日中関係:対話と競存の時代』(東京大学出版会、2009年、共編)、論文として、「香港の中国回帰」(『現代世界とイギリス帝国』、ミネルヴァ書房、2007年)、「返還後10年の香港政治:香港経験の越境の可能性」(『問題と研究』 36巻4号、2007年)、「現代香港における『政治』の出現」(『日本比較政治学会年報』 12号、2010年)、「カナダへの香港人移民」( 『東洋文化研究所紀要』157冊、2010年)、「返還後の香港における区議会選挙」(『ODYSSEUS』15号、2011年)、「消費され輸出される文化」「中国人は世界をめざす」(『はじめて出会う中国』有斐閣、2013年)など。

塩出浩和(しおで ひろかず)
1960年、神奈川県生まれ。
1995年、慶應義塾大学法学研究科政治学専攻博士課程単位取得満期退学。
専攻は、中国近代史・華南地域研究。
現在、城西国際大学留学生別科准教授。
主著に、Japanese Investments in Southeast Asia - Three Mlaysian Case Studies, HongKong: Center for the Progress of Peoples, 1989, 『可能性としてのマカオ:曖昧都市の位相』(亜紀書房、1999年)など。

容應萸 (よう おうゆ/Yung Ying-yue)
1948年、中国広州市生まれ。
1981年、東京大学大学院国際関係論専門課程博士課程修了。社会学博士。
専攻は、近代日中関係史、近代中国史。
現在、亜細亜大学経営学部教授。
主著書として、『香港開埠與關家』(香港:廣角鏡出版社、1997年、共著)。論文として、「自立軍蜂起前後における改革各派の連合」(『二十世紀アジアの国際関係Ⅲ:ナショナリズムと国家建設』(原書房、1995年)、“The Chinese Educational Mission in the 1870s : Comparison with the Chinese Students in Japan in the 1900s”(『アジア研究所紀要』29号、亜細亜大学、2003年)、「異郷に育つ:19世紀米国の日本人・中国人留学生」(『模索する近代日中関係:対話と競存の時代』東京大学出版会、2009年)など。

執筆者紹介(掲載順)
荘国土(しょう こくど/ Zhuang Guotu)
1952年、中国福建省晋江生まれ。
1988年、廈門大学歴史学系博士課程修了。博士(歴史学)。
専攻は、華人華僑研究、東南アジア研究、中国外交史。
現在、華僑大学講座教授、廈門大学南洋研究院院長、同教授。
主著書に、『中国封建政府的華僑政策』(廈門大学出版社、1989年)、『華人華僑与中国的関係』(広東高教出版社、2001年)、『二戦後東南亜華族社会地位的変化』(廈門大学出版社、2003年)、『東亜華人社会形成和発展:華商網絡、移民和一体化』(廈門大学出版社、2009年)、『近30年東亜華人社団的発展変化』(廈門大学出版社、2011年)、『菲律賓華人通史』(廈門大学出版社、2013年)など。

陳広漢(ちん こうかん/Chen Guanghan)
1954年、中国湖北省生まれ。
1991年、武漢大学経済学院博士課程修了。博士。
専攻は、発展経済学、区域経済学。
現在、教育部人文社会科学重点研究基地・中山大学港澳珠江三角洲研究センター主任、経済学教授。
主著書として、Developning A Competitive Peal River Delta in South China under one Country-Two Systema (香港大学出版社、2006年、編著)、『全球化和区域経済一体化中的香港経済』(中山大学出版社、2006年、編著)、『港澳珠三角区域経済整合与制度創新』(社会科学文献出版社、2008年)、『泛珠三角区域合作与発展研究報告』(社会科学文献出版社、2008年、編著)、『中国区域経済発展与泛珠三角区域合作』(中山大学出版社、2008年、編著)、『香港回帰後的経済発展与転型』(北京大学出版社、2009年)、『珠三角区域発展報告:2012年』(中国人民大学出版社、2012年、編著)、『産業創新能力的培養与発展研究』(社会科学文献出版社、2013年、編著)など。

程美宝(てい びほう/Ching May Bo)
1968年、香港生まれ。
1996年、英国オックスフォード大学にて博士号取得、現在、中山大学歴史人類学研究中心歴史系教授。
専攻は、中国近代史、近代中国におけるメディア史研究、地域文化研究。
主要著書として、『地域文化与国家認同:晩清以来“広東文化”観的形成』(生活・読書・新知三聯書店、2006年)、『把世界帯進中国:従澳門出発的中国近代史』(社会科学文献出版社、2013年、共著)、『平民老倌羅家宝』(三聯〈香港〉出版有限公司、2011年、編著)、「近代的男性性と民族主義」(辛亥革命百周年記念論集編集委員会編『総合研究辛亥革命』(新居洋子訳、岩波書店、2013年)がある。

飯島典子(いいじま のりこ)
1965年、東京生まれ。
2004年、一橋大学社会学科大学院博士課程修了。博士(社会学)。
専攻は、中国近代史、華僑論。
現在、広島市立大学准教授。
主著書として、『近代客家社会の形成:「他称」と「自称」のはざまで』(風響社、2007年)、『客家の創生と再創生:歴史と空間からの総合的再評価』(風響社、2012)がある。

神長英輔(かみなが えいすけ)
1975年、神奈川県生まれ。
2006年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
専攻は、歴史学、東北アジア史、ロシア極東近現代史、日露関係史。
現在、新潟国際情報大学情報文化学部准教授。
著書として、『異郷に生きる V 来日ロシア人の足跡』(成文社、2010年、共著)、『日露戦争とサハリン島』(北海道大学出版会、2011年、共著)、『新史料で読むロシア史』(山川出版社、2013年、共著)、論文として、「北東アジアにおける近代捕鯨業の黎明」(『スラヴ研究』49号、2002年)、「日本の対サハリン島政策 1875-1904」(『年報 地域文化研究』8号、2005年)、「コンブの道 サハリン島と中華世界」(『ロシア史研究』88号、2011年)など。

小川正樹(おがわ まさき)
1971年、北海道生まれ。
1996年、北海道大学大学院文学研究科修了。修士(東洋史学)。
専攻は、中国明清史、北海道華僑史研究。
現在、函館ラ・サール高等学校教諭。
主な論文として、「明治・大正・昭和初期における北海道華僑社会の形成」(『史朋』第41号、2008年)、「北海道華僑社会の特質:函館・札幌・旭川の比較」(『華僑華人研究』第7号、2010年)、「日中交流の150年:函館華僑と函館中華会館」(『函館私学研究紀要:中学・高校・専修学校編』第40号、2011年)、「函館に残された中国文化:函館中華会館の調度品」(函館中華会館創立100周年記念シンポジウム報告集『函館に残された中華世界:函館中華会館』、2011年)など。
坂田美奈子(さかた みなこ)
1969年、北海道札幌市生まれ。
2007年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了。博士(学術)。
研究分野は、エスノヒストリー、先住民研究、口承文学研究。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教務補佐員。法政大学・跡見学園女子大学・和光大学兼任講師。
主著書として、『アイヌ口承文学の認識論:歴史の方法としてのアイヌ散文説話』(御茶の水書房、2011年)、「トゥクピタの首長の物語:アイヌ=エスノヒストリーを創造する」(『北海道・東北史研究会』7、2011年)、“Possibilities of Reality, Variety of Versions: The Historical Consciousness of the Ainu Folk Tales.” Oral Tradition, 26/1, 2011.

崔学松(さい がくしょう/Cui Xuesong)
1973年、中国吉林省生まれ。
2011年、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)。
専攻は、言語社会学、アジア地域研究。
現在、一橋大学大学院言語社会研究科特別研究員、東京大学教養学部非常勤講師。
主著書として、『抗戦文史研究』(重慶出版社、2010年、共著)、『韓国的歴史与文化』(中山大学出版社、2011年、共編著)、『中国における国民統合と外来言語文化』(創土社、2013年)、論文として、「日本関于東亜共同体構想的基本観点」(『中国社会科学報』1月号、2010年)、「1920年代日本国内的韓国独立運動与無政府主義」(復旦大学韓国研究中心編『韓国研究論叢』22号、復旦大学出版社、2010年)、「朝鮮半島の地政学的戦略構図における哨戒艦事件の影響」(『東亜』9月号、2010年)、「日本和平反戦活動中的世界語運動――1930年代初為中心」(『社会科学戦線』8月号、2011年)、“Normative Evaluation and Social Selection of Foreign Language Reception in Modern China” (in Nimal Mallawa Arachchi eds. Asian Community and Coexistence in Multi-Ethnic and Multi-Cultural Contexts, University of Kelaniya Press, 2013)など。

魏志江(ぎ しこう/Wei Zhijiang)
1962年、中国江蘇省淮陰市(現淮安市)生まれ。
1997年、中国南京大学歴史学国際関係史博士学位取得。
専攻は、韓国政治外交研究、中韓関係史、朝鮮半島と北東アジア問題など
現在、中国中山大学アジア太平洋研究院教授、同韓国研究所長。
主著書として、『冷戦後的中韓関係研究』(中山大学出版社、2009年)、『韓国学概論』(中山大学出版社、2008年)、『中韓国関係史研究』(中山大学出版社、2006年)。論文として、「論中韓戦略合作伙伴関係的構建及其影響」(『当代亜太』(北京)、2008年第4期)、「論朝鮮半島第二次核危機与危機管理」(『世界経済与政治』2006年第3期)、「北東アジアにおける日中韓の戦略的相互信頼」(『ERINA REPORT』)96巻、環日本海経済研究所、2010年11月)など。

鄭宇碩 (てい うせき/Cheng, Joseph Yu-shek)
1949年、香港生まれ。
1979年、南オーストラリア州フリンダース大学にて博士号取得。
専攻は、政治学。研究テーマとして香港政治の発展、中国政治、中国外交、南中国の発展モデルなど。
現在、香港城市大学公共政策学系主任教授。
主著書として、Guangdong : Preparing for the WTO Challenge (The Chinese University Press、2003年、編著)、The July 1 Protest Rally -- Interpreting a Historic Event (City University of Hong Kong Press、2005年、編著)、Challenges and Policy Programmes of China's New Leadership(City University of Hong Kong Press, 2007年、編著)、『政治学新探:中華経験與西方学理』(中文大学出版社、2009年、編著)、『中国改革開放30年:変與常』(中文大学出版社、2009年、編著)、『那夜無星:八九民運二十年顧後瞻前』(香港城市大学出版社、2010年、編)、『留給梁振英的棋局:通析曾蔭権時代』(香港城市大学出版社、2013年、共編)など。

毛艶華(もう えんか/Mao Yanhua)
1970年、中国江西省瑞金生まれ。
1998年、中国社会科学院付属大学院博士課程修了。理学博士。
現在、中山大学港澳珠江三角洲研究中心経済学教授。
専門は、産業組織と産業政策・地域発展戦略と管理など。
主著書として、『粤港科技創新合作機制研究』(中国社会科学出版社、2013年)、『産業分工、区域合作與港澳経済転型』(中国社会科学出版社、2010年)、『香港対外貿易発展研究』(北京大学出版社、2009年)、論文として、「珠三角増長模式:特徴、影響與転型」(『広東社会科学』、2009年第5期)、「澳門経済適度多元化:内涵、路径與政策」(『中山大学学報(社会科学版)』、2009年第5期)、「泛珠江三角洲産業分工與協調機制研究」(『中山大学学報(社会科学版)』、2005年第1期)、「珠江三角洲IT制造業集聚機制與競争優勢研究」(『中山大学学報(社会科学版)』、2004年第5期)など。
楊本建(よう ほんけん/Yang Benjian)
1981年、中国貴州省天柱県生まれ。
2011年、中国中山大学管理学院博士課程修了、管理学博士。
現在、中山大学広東決策科学研究院ポスト・ドクター。
研究テーマは、地域経済および都市経済。
著書として、『産業集聚與区域協調経済協調発展研究』(経済科学出版社、2012年、共著)、
論文として、「異質性企業集聚研究」(博士論文)、共著論文として、「風険分担與地区専業化:中国的経験」(『山東大学学報(哲学社会科学版)』、2013年)、「技術服務的産品性質與供給方式」(『学術研究』、2012年)、「企業所有権結構與産業集群的形成」(『管理世界』、2010年)、「中国特色的劉易斯接点與城郷労働力一体化的路径選択」(『華南師範大学学報(哲学社会科学版)』2008年)など。

日野みどり(ひの みどり)
1962年、北海道生まれ。
2002年、大阪外国語大学博士後期課程修了。博士(学術)。
専門は、文化人類学、現代中国研究。
現在、同志社大学グローバル・コミュニケーション学部教授。
主著書として、『香港・広州菜遊記:粤のくにの胃袋気質』(凱風社、2003年)、『現代中国の「人材市場」』(創土社、2004年)、『現代中国の社会変容と国際関係』(西村成雄・許衛東編、汲古書院、2008年、共著)、『「読み・書き」から見た香港の転換期:1960〜70年代のメディアと社会』(吉川雅之編、明石書店、2009年、共著)、『共進化する現代中国研究:地域研究の新たなプラットフォーム』(田中仁・三好恵真子編、大阪大学出版会、2012年、共著)、『新図説中国近現代史:日中新時代の見取図』(田中仁ほか、法律文化社、2012年、共著)など。訳書に『香港回帰:ジャーナリストが見た’97.7.1』(ユエン・チャン、盧敬華共編、1998年、凱風社)、『日本占領期香港の子どもたち:学びと暮らしのオーラルヒストリー』(張慧真・孔強生共著、凱風社、2008年)、『ふるさと・フィールド・列車:台湾人類学者の半生記』(呉燕和著、風響社、2012年)がある。

和仁 廉夫(わに ゆきお)
1956年、東京都生まれ。
1981年、国学院大学文学部史学科卒業。
ジャーナリスト。日中戦争から太平洋戦争期にかけての香港・マカオ・珠江三角州地域の対日関係史や、香港・広州を起点とする現代中国の選美文化(ミス コンテスト)の変遷を追跡してきた。
主著書に、『旅行ガイドにないアジアを歩く 香港』(梨の木舎、1996年)、このほど同書を底本にした中国語全面更新版『歳月無聲一個日本人追尋香港日佔史跡』(張宏艶訳 花千樹出版 2013年)を出版した。他に『歴史教科書とナショナリズム』(社会評論社、 2001年)、『歴史教科書とアジア』(社会評論社 、2001年)がある。論文に、『広州『姿』本主義:香港返還もう一つの意味』(霞山会『東亜』№507、2009年9月号)など。

八尾祥平(やお しょうへい)
1977年、東京都生まれ。
2012年、首都大学東京大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。
専門は、社会学、移民(華僑)研究。
現在、早稲田大学アジア研究機構・研究助手。
主要論文として、「戦後における台湾から『琉球』への技術導入事業について」(蘭信三編著『帝国以後の人の移動:ポスト植民地主義とグローバリズムの交錯点』(勉誠出版、2013年)、「戦後における琉球華僑をめぐる記憶と忘却:『石垣市唐人墓建立事業』を事例に」(吉原和男編著『現代における人の国際移動:アジアのなかの日本』東京:慶應義塾大学出版会、2013年)、「1950年代から1970年代にかけての琉球華僑組織の設立過程:国府からの影響を中心に」(『華僑華人研究』第8号、2011年)。
2012年度日本華僑華人学会研究奨励賞受賞。

廖大珂(りょう たいが/Liao Dake) 
1953年、中国福建省福州市生まれ。
1988年12月厦門大学南洋研究所から博士号取得。
現在、厦門大学南洋研究院教授。
専攻は、中外関係史、東南アジア史。
主著書として、『中国古代海外貿易史』(広西人民出版社、1995年、共著)、『福建海外交通史』(福建人民出版社、2002年)、論文として、「試論宋代市舶司官制的演変」(『歴史研究』1998年第3期、1998年)、「元代官営航海貿易制度述略」(『中国経済史研究』1998年第2期、1998年)、「『島夷志』非汪大淵撰『島夷志略』辨」(『中国史研究』2001年第4期、2001年)、「宋代市舶税利的抽收、分割与市舶本銭」(『中国史研究』2003年第4期、2003年)、「『羅茲地図』中的“澳洲”之謎」(『世界歴史』2005年第1期、2005年)、「従『三宝壟華人編年史』看伊斯蘭在印尼的早期伝播」(『世界宗教研究』2007年第1期、2007年)、「明代『佛郎機黒番』籍貫考」(『世界民族』2008年第1期、2008年)、「朱紈事件与東亜海上貿易体系的形成」(『文史哲』2009年第2期、2009年)、「16-18世紀初欧洲地図中的Chincheo港」(『中国史研究』2013年第2期、2013年)など。

山本博之(やまもと ひろゆき)
1966年、千葉県生まれ。
2001年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程(地域文化研究専攻)退学。博士(学術)。
専門は、マレーシア地域研究/現代史。
現在、京都大学地域研究統合情報センター准教授。
主著書として、『脱植民地化とナショナリズム:英領北ボルネオにおける民族形成』(東京大学出版会、2006年)、共編著書としてFilm in Contemporary Southeast Asia: Cultural Interpretation and Social Intervention (Routledge. 2011)、Bangsa and Umma: Development of People-Grouping Concepts in Islamized Southeast Asia (Kyoto University Press. 2011)など。

内藤理佳(ないとう りか)
1965年、神奈川県生まれ。
2009年、放送大学大学院総合文化プログラム修士課程修了。修士(学術)
専攻・研究テーマは、マカオ地域研究、ポルトガル語学、ポルトガル事情。
現在、上智大学外国語学部ポルトガル語学科嘱託講師。
主要論文に、「中国返還後のマカエンセ(Macaense)のエスニシティ変容」(『Open Forum放送大学大学院教育研究成果報告』6号、2010年)、「マカエンセ20名への聞き取り調査およびアンケート全記録」(『流通経済大学社会学部論叢』21巻2号、2011年)、主要翻訳に、ヴィトール・セラン「ポルトガルにおける聖フランシスコ・ザビエルの美術的図像表現:企画・立案から実行への系譜」(東武美術館・朝日新聞社共編『来日450周年 大ザビエル展図録』243-249頁、1999年、共訳)、「ソフィア・デ・メロ・ブレイネル・アンデルセン『旅』より」(『流通経済大学流通情報学部紀要』33号、2013年)、その他『ローマ字ポ和辞典』(坂根茂・日向ノエミア編著、柏書房、1986年)および『現代日葡辞典』(ジャイメ・コエーリョ・飛田良文編著、小学館、1998年)校正者。

翻訳者紹介
杉谷幸太(すぎたに こうた)
1984年、大阪府生まれ。
2010年、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。修士(地域研究)。
専攻は、社会主義中国の歴史と文学。
現在、同大学院博士課程に在学中。
主要論文に、「『青春に悔い無し』の声はなぜ生まれたか:『老三届』の世代意識から見た上山下郷運動」(『中国研究月報』2012年10月号)、「『知識青年』は農村をどう描くか:李鋭『黄土』と陳凱歌『黄色い大地』の比較から」(『中国研究月報』2011年11月号)など。

土肥 歩(どい あゆむ)
1983年、千葉県生まれ。
2013年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻退学。
専攻は、近現代中国におけるキリスト教史、広東・香港の地域研究。
現在、日本学術振興会特別研究員PD。
研究業績として、「清末在外中国人と中国キリスト教布教事業:在ニュージーランド中国人と広州郷村布教団を中心に」(『東洋学報』第94巻第3号、2012年12月、63―94頁)、「中国キリスト教史から見た辛亥革命:梁発の「発見」と太平天国史叙述の再形成」(日本孫文研究会編『グローバルヒストリーの中の辛亥革命』汲古書院、2013年、251-273頁)など。

石塚洋介(いしづか ようすけ)
1985年、神奈川生まれ。
2010年、東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻修了。修士(学術)。
専攻は、社会学、研究テーマはアジアにおける社会運動とメディア。
現在、上海・復旦大学ジャーナリズム学院博士課程に在籍中。台湾の写真雑誌『The Voices of Photography(撮影之声)』編集者。
主な業績に、「カルチュラル・タイフーン2009」(2009年7月、東京外国語大学)、「台湾文化研究学会2010年年会」(2010年1月、台湾台南・成功大学)、「ANU日本研究大学院生夏期研究発表会2012」(2012年2月、オーストラリア国立大学)など発表多数。

伊藤 博(いとう ひろし)
1955年、東京都生まれ。
2013年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
研究テーマは、現代中国の金融・保険および日中経済関係史。
現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。
論文として、「中国保険業における対外開放政策の展開」(『アジア研究』56巻第1・2号、2010年)、「中国における保険業の改革:政府の作用と中国人民保険公司の対応を中心に」(『年報 地域文化研究』(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻)15号、2012年)、「動向・経済:証券市場」および「要覧・統計:証券・保険」(『中国年鑑』2010〜2013年版)など。

小池 求(こいけ もとむ)
1979年、群馬県生まれ。
2012年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻満期取得退学。
現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、神奈川大学法学部非常勤講師。
専攻は、中独関係史。
論文として、「一九〇一年のドイツへの清朝「謝罪使」の派遣:「謝罪使」観と謁見儀礼問題を中心に―」(『史学雑誌』118編9号、2009年)、「光緒帝の梓宮移送式へのドイツ・日本の特使派遣問題:弔問外交の対象となった清朝皇帝の『葬儀』」(『東洋学報』第91巻第4号、2010年)、「従中徳関係看考察政治大臣出洋:以徳国視察和徳国的対清政策為中心」(四川省社会科学院『社会科学研究』2011年第2期、2011年)「醇親王政権の対独接近政策」(辛亥革命百周年記念論集編集委員会編『総合研究 辛亥革命』岩波書店、2012年)など。

 

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