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ソウル大学校で韓国近代史を学ぶ 48

韓国留学体験記

ソウル大学校で韓国近代史を学ぶ

「植民史学」「内在的発展論」「植民地近代化論」……深化する学史。厳しい博士課程の講義と、楽しいキャンパスライフを描く。

著者 森 万佑子
ジャンル 歴史・考古・言語
シリーズ ブックレット《アジアを学ぼう》
出版年月日 2017/12/15
ISBN 9784894897977
判型・ページ数 A5・58ページ
定価 本体700円+税
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに

一 期待と不安(一年目一学期:二〇一〇年三月〜八月)

 1 韓国近代史学史研究
 2 韓国対外関係史研究(一九世紀後半期の日韓関係)
 3 北朝鮮セミナー(北朝鮮の社会と文化)
 4 留学生活①

二 充実した日々(一年目二学期:二〇一〇年九月〜二〇一一年二月)

 1 韓国近代史研究(日帝の朝鮮侵略と「文明化の使命」)
 2 韓国近代史特講(都市史)
 3 韓国の歴史(韓国近現代史)
 4 留学生活②

三 挑戦(二年目一学期:二〇一一年三月〜八月)

 1 韓国経済史研究
 2 歴史人類学
 3 留学生活③
 4 韓国近代史特殊研究(一九世紀の国際関係史)
 5 留学生活④

おわりに(二年目二学期:二〇一一年九月〜二〇一二年三月

用語説明
参考文献
関係年表

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内容説明

現地学生と肩を並べて
「植民史学」「内在的発展論」「植民地近代化論」……深化する学史。厳しい博士課程の講義と、楽しいキャンパスライフを描く。

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 ……研究室には部屋の両壁面に机が二列並んでいる。一列には六つの机があり、一部屋を一二人で使用した。修士課程・博士課程の混合、さらに専攻する時代も古代史から現代史までバラバラだった。韓国の大学は毎学期に入学・卒業(修了)できるシステムになっているので、学期ごとに新入生や留学生、修士・博士課程を修了して「論文執筆班」に移動する人、修士論文を提出して課程履修生用の研究室に戻ってくる人などで入れ替わりがある。そのため、学期の初めには「パンモイム(部屋の集まり)」という、研究室ごとの懇親会も開かれる。親しくなった同じ研究室の先輩・後輩とは、研究に関する疑問は勿論、韓国語の解釈や日常生活のちょっとした疑問についても自然と話ができるようになり、研究室は非常に贅沢な空間であった。

 この日から二年間、計四学期にわたる留学生活を無事に終えることができたのは、この研究室のみんなのお陰である。
二〇一〇年一学期、私は次の三コマの講義を受講した。A先生の「韓国近代史学史研究」、B先生の「韓国対外関係史研究(一九世紀後半期の韓日関係)」、C先生の「北朝鮮セミナー(北朝鮮の社会と文化)」である(韓国では「北朝鮮」のことを「北韓」と呼ぶが、本書では日本での通例に倣い「北朝鮮」と表記する)。

1 韓国近代史学史研究

 A先生の「韓国近代史学史研究」のシラバスの講義概要には次のように書かれている。シラバスは大学院生向けに書かれているため、少し難しい表現やぎこちない訳文を含むが、留学現場の臨場感をそのままお伝えする目的で、敢えて翻訳は直訳とする。

 韓国近代歴史学の歴史も一〇〇年が過ぎている。その結果、量的に多くの研究成果が蓄積されており、多様な歴史理論が適用されている。さらには、近代歴史学そのものを批判的に省察する主張も提起されている。ポストモダン歴史学がまさにそれであるが、その主張内容を受け入れるかどうかにかかわらず、近代歴史学を客観的に省察する視角を提供したという点で意味がある。

 また韓国近代歴史学は、東アジア近代歴史学の一部分として、これと連動しながら形成・発展した。特に日本の近代歴史学の影響が大変大きかった。過去の日本の歴史学の影響に対しては「植民史学」という名前で主に否定的な視角で見てきたが、今は、より包括的な観点でその影響を検討する必要がある。

 本講義では、韓国の近代史学史に対して、時空間的により広い目で検討していこうと思う。

 この講義は八つのテーマが定められ、二〜三人のグループでそのテーマに関する発表を行った。八つのテーマは次の通りであった。……

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著者紹介
森 万佑子(もり まゆこ)
1983年、愛知県生まれ。
2008年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了。2012年、ソウル大学校大学院人文大学国史学科博士課程修了。2015年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。2016年、博士(学術)。
現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。
主要業績に、『朝鮮外交の近代――宗属関係から大韓帝国へ』名古屋大学出版会、2017年。

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