目次
榕城家常雑記(二) 岩松研吉郎
再訪1984(一) 金井広秋
わが日わが夢(二) 金井広秋
朝鮮半島の積極的平和を考える 続 野村伸一
しめぢ帖・抜書:1711〜1802 岩松研吉郎
2号後記
発行にあたって
内容説明
元慶応教授らの「老いのたわごと」を雑誌にしたら……。古典・民俗・時事などに容赦なき放談の数々!
慷慨談式の内閉ではしょうもない、と(昔ながらの用語で)意志統一し、三人それぞれの、今日の東アジアとその中の日本にかかわる意見・異見、卓見・短見を、世間におしつけ・ひろめよう、ということにした。
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2号後記
われわれの団結形態は「三人組」、われわれのリーフレットは「三人集」だ。脱線トリオ、てんぷくトリオ、トリオスカイライン、さらにはスリーグレイセス(「山の娘ロザリア」は音楽教科書に載った)、スリーバブルス(ミツワ石鹸のCMソングを担った)、スリーキャッツ(「黄色いサクランボ」で〽ウッフーンと唸った)、三味線鳴らして歌い騒ぐ〽わてら陽気なかしまし娘、対比してやや奥ゆかしくあるかトリオこいさんずなど、優れた先人たちの業績に学んで、われわれもまた元気いっぱい「トリオじいさんず」としてお座敷つとめてまいります。どちらさまも隅から隅までずぃーっとよろしく願い上げます。
野村『崔承喜考』は戦前川端康成に霊感をあたえた「半島の舞姫」から、戦後祖国の地で東と西、南と北の対立的統一を志してたたかい、20世紀芸術家の運命悲劇を生ききった一朝鮮女性の生涯と仕事の考察だ。筆者の学問と文体がこの本物の芸術家の大きさをどこまで造型できているか、ご覧いただければと思う。東アジアは今日おおきな転換点を迎えており、野村による人民芸術家崔承喜像の再構築は歴史的転換の内実を明らめんとする試行でもある。
岩松『榕城家常雑記』『しめぢ帖・抜き書き』はわが国日記(紀行)文学の伝統に則って現代世界・日本と渡り合い、批判的対話をくりひろげる。筆者の学問的守備範囲あくまで広く、かつ深く、たとえば荷風『断腸亭日乗』なんかと対照的に、一貫して「私心」を捨てて、いってみればひたすら現在の「革命」の利益にのみという観点に徹して記録、観察、裁断がなされている点に注目せられよ。岩松日記は市井の一文化人の批評精神の生気はつらつ、明晰をあかし立てるドキュメントだ。
金井『再訪1984』は1984年のある日再会した友と振り返ってみた「1968年革命」の愉快な日々を記録せんとする、「小説体の歴史」あるいは「歴史体の小説」という気持ちだ。基本、筆者の貧しい見聞にしばられた回想物だから、どう読んでいただけるか心もとないが、なんとか69年1月「安田講堂」攻防戦のところまでは書いてみる予定で、連載になりますがご容赦を。
以上、2号について、蛇足的にしるす。
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執筆者紹介
野村伸一(のむら しんいち)
1949年生まれ、東京都台東区上野桜木町育ち。
現在、慶應義塾大学講師(言語文化研究所)、原典講読担当。
近作に編著『東アジア海域文化の生成と展開 〈東方地中海〉としての理解』(風響社、2015年)。
岩松研吉郎(いわまつ けんきちろう)
1943年東京うまれ。
慶應義塾大学名誉教授。福州大学外国語学院日語系客員教授。
日本語日本文学専攻。近業は俳句誌『都市』への「木々雑記」連載程度。
金井広秋(かない ひろあき)
1948年生まれ。群馬県前橋市に育った。学生時代は学校新聞の編集にかかわり、また同人誌「映画のおと」「文化同盟」の創刊にくわわった。作品に『死者の軍隊』上下(彩流社刊。2015)『ボクちゃんの戦争』(「慶應義塾高等学校紀要」1991)『黒田喜夫ノート』(「三田新聞」1970)等がある。元慶應義塾高等学校教諭。
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本書に以下の誤記がありました。お詫びして訂正いたします。
59頁30行
[김학재 2015:524以下] → [김학재 2015a:524以下]
60頁7行
[김학재 2017:372] → [김학재 2015b:372]
60頁17行
[서울대학교 2017:357以下] → [서울대학교 2015:357以下]
60頁33行
[김학재 2017:378以下] → [김학재 2015b:378以下]
61頁18行
[한국사회사학회 2017:367以下] → [서울대학교 2015:367以下]
66頁7行
김학재 2015 ……
→ 김학재 2015a ……
66頁8行
김학재 2015 ……
→ 김학재 2015b ……
66頁12行
한국사회사학회 2015「평화기획으로 한국전쟁 다시 읽기 ─ 김학재, 2015, 판문점 체제의 기원 ─ 한국전쟁과 자유주의 평화기획,후마니타스」『사회와 역사』Vol.108、한국사회사학회。
→ 서울대학교 사회사/역사사회학 공부 모임(한국사회사학회)2015「평화기획으로 한국전쟁 다시 읽기? ─ 김학재, 2015,『판문점 체제의 기원:한국전쟁과 자유주의 평화기획』,후마니타스」『사회와 역사』Vol.108、한국사회사학회。
(これは書評。データベースKISSでは、著者한국사회사학회とあるが、実際は서울대학교 사회사/역사사회학 공부 모임が著者。このため表記に混乱が生じた。)