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ベトナムの社会誌
ドイモイ期の記憶の断片
「経済刷新」政策のもと、急激な発展を遂げるベトナム。変貌する社会のなかで人びとはどのように暮らしていたのだろうか。
| 著者 | 寺本 実 著 |
|---|---|
| ジャンル | 社会・経済・環境・政治 |
| シリーズ | 風響社ブックレット |
| 出版年月日 | 2020/01/31 |
| ISBN | 9784894894143 |
| 判型・ページ数 | A5・100ページ |
| 定価 | 本体900円＋税 |
| 在庫 | 在庫あり |
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|---|
目次
はじめに
Ⅰ 「街」
第1 話 通り
第2 話 ヴァンカオ通りから
第3 話 街の歴史
第4 話 ホーチミン市博物館
第5 話 街のコピー屋さん
第6 話 郵便局
第7 話 ファストフード
第8 話 コンビニエンスストア
Ⅱ 「移動」
第9 話 自転車
第10 話 ハノイの市バス
第11 話 タクシー
第12 話 鉄道の記憶
第13 話 徒歩
Ⅲ 「地方」
第14 話 暮らしと時代の潮流
第15 話 風景
第16 話 地方でのおもてなし
第17 話 ファンティエットにて
Ⅳ 「五感」
第18 話 アナウンサーの発音
第19 話 テレビ放送の変化
第20 話 におい
第21 話 音
第22 話 涙
Ⅴ 「健康」
第23 話 運動、スポーツ
第24 話 パラリンピック
第25 話 診療所
Ⅵ 「外とのつながり」
第26 話 国連障害者権利条約
第27 話 日本との関係
第28 話 対中国関係の緊張
第29 話 インドとの関係
おわりに
出所一覧・参考文献・略年表・地図
Ⅰ 「街」
第1 話 通り
第2 話 ヴァンカオ通りから
第3 話 街の歴史
第4 話 ホーチミン市博物館
第5 話 街のコピー屋さん
第6 話 郵便局
第7 話 ファストフード
第8 話 コンビニエンスストア
Ⅱ 「移動」
第9 話 自転車
第10 話 ハノイの市バス
第11 話 タクシー
第12 話 鉄道の記憶
第13 話 徒歩
Ⅲ 「地方」
第14 話 暮らしと時代の潮流
第15 話 風景
第16 話 地方でのおもてなし
第17 話 ファンティエットにて
Ⅳ 「五感」
第18 話 アナウンサーの発音
第19 話 テレビ放送の変化
第20 話 におい
第21 話 音
第22 話 涙
Ⅴ 「健康」
第23 話 運動、スポーツ
第24 話 パラリンピック
第25 話 診療所
Ⅵ 「外とのつながり」
第26 話 国連障害者権利条約
第27 話 日本との関係
第28 話 対中国関係の緊張
第29 話 インドとの関係
おわりに
出所一覧・参考文献・略年表・地図
内容説明
「経済刷新」政策のもと、急激な発展を遂げるベトナム。変貌する社会のなかで人びとはどのように暮らしていたのだろうか――街角や道筋、市場や食堂、そして家族のありよう…。アジア経済研究所の調査の傍ら書き留められた、においや音の混ざる記憶の欠片たち。
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「はじめに」より
工業化・近代化、国際経済への参入を推進してきたベトナムは、さまざまな
変化のただ中にある。
街の風景も変わった。ベトナムでは、主要な交通手段としてバイクがよく利
用される。筆者が初めてベトナムに行ったのは1990 年代半ばのこと。ヘルメッ
トをかぶったバイクの運転手は、当時ごくわずかだった。今ではほとんどがヘ
ルメットを着用するようになった。
昔ながらの庶民的な市場やビンザンと呼ばれる昔ながらの庶民向けの食堂の
数も減った。かつては記憶できるほどの場所にしかなかったスーパーの店舗数
が増え、最近では、それにファストフード店、コンビニエンスストアまでが加
わるようになった。
また、こうした街の変化だけでなく、家族といった社会の基本的な単位につ
いても、少子化の進行、家族による構成員の社会化機能の低下、子どもや高齢
者のケアの問題などが、議論の俎上に上がるようになっている。
ベトナムのほとんどの人たちが母語として使用するベトナム語の基礎には、
家族関係が組み込まれている。家族に対して用いる人称代名詞を、自身と相手
との関係性に応じてそのまま他者に用いるなど、社会における人と人との関係
を、家族関係の構造世界をフォーマットとして認識する構造になっているのだ。
このことは、人と人の距離感が比較的近いベトナム社会のあり方の、素因のひ
とつになっていると考えられる。したがって、工業化・近代化、国際経済への
参入の影響により、家族のあり方が変化していくことは、ベトナムの人たちの
社会認識のあり方に対しても影響を与える可能性がある。
本書は、そんな変容期にあるベトナム社会に関するトピックからなる。いず
れも筆者がベトナムで経験したこと、見聞きしたことが主題となっている。こ
れらトピックの時代背景をご理解いただくために、まずはベトナム戦争後のベ
トナムの歩みを、少し見ておくことにしよう。
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著者紹介
寺本 実（てらもと みのる）
1966 年生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科国際協力専攻（修士）。ア
ジア経済研究所地域研究センター所属。ベトナム地域研究に従事。
主な編著に、『現代ベトナムの国家と社会――人々と国の関係性が生み出す
〈ドイモイ〉のダイナミズム』明石書店2011 年。主な著作に、「ベトナムの
枯葉剤被災者扶助制度と被災者の生活――中部クアンチ省における事例調
査に基づく一考察」（論文『アジア経済』第53 巻第1 号、2011 年1 月）、「ベ
トナムの障害者の生計に関する一考察――タインホア省における、取り巻
く環境との関係性に関する事例研究を通して」( 研究ノート『アジア経済』
第54 巻第3 号、2013 年9 月）、“Vietnamese Families and the Lives of Family
Members with Disabilities: A Case Study in a Commune of the Red River Delta.”
IDE DISCUSSION PAPER No.720, June 2018 など。
