ホーム > モンゴルの仏教寺院
目次
まえがき
はじめに──本書の目的と構成
第1章 モンゴル人と仏教との関係
1 年代記の歴史観
2 国家統治における仏教儀礼
3 草原の翻訳家たちの功績
4 写本の奥付が語る歴史
5 チベット仏教世界とモンゴルの政治権力との関係
6 チベット仏教のモンゴル化と宗教弾圧
第2章 内モンゴル自治区
1 バディゲル・ジョー
2 シャルリク寺
3 シベル寺
4 ハリュート寺
5 シニ・スゥメ寺
6 パンチェン寺
7 ゲゲーン・スゥメ寺
8 ゲルベルジョー寺
9 アルジャイ石窟とバンチン・ジョー寺
10 ハラガムト寺
11 ザンダンジョー寺
12 ワンギン・ゴリーン・ジョー寺
13 メーリン・スゥメ寺
14 ウーシンジョー寺
15 ディヤン寺
16 ジュンガル・ジョー寺
17 ドハイン・ジョー寺
18 シャルムレンジョー寺とシレートジョー寺
19 ウーラン・スゥメ寺
20 グンギーン・ジョー寺
第3章 新疆ウイグル自治区
1 ブルハン・バグシン・スゥメ寺
2 シャル・スゥメ寺
第4章 寧夏回族自治区
1 同心県元朝仏寺
2 石空寺黄寺
第5章 山西省
五台山
第6章 青海省
ダザン・キイト寺
第7章 モンゴル国
1 エルデニ・ジョー
2 タリヤーティン・クレー
3 アマルバイスガラント寺
4 バルダン・ベルベンリン寺
5 バルーン・クレー寺
第8章 ロシア連邦
1 トブデンチョイホルリン寺
2 イヴォルガ寺
第9章 「天たる火の大いなる祭祀と招福儀礼の書」(サイン・ホビト)
はじめに
1 モンゴルの拝火祭用テキスト
2 ローマ字転写と日本語試訳
第10 章 資料
1「ウーシン旗の最初の寺・ラシラバダンリンの略史」
2「聖白傘蓋仏母という大乗経典。総括とお返し(回折)の賛歌」
3「無敵の聖白傘蓋仏母の大いなるお返し(回折)の陀羅尼」
あとがき
索引
写真・図表一覧
はじめに──本書の目的と構成
第1章 モンゴル人と仏教との関係
1 年代記の歴史観
2 国家統治における仏教儀礼
3 草原の翻訳家たちの功績
4 写本の奥付が語る歴史
5 チベット仏教世界とモンゴルの政治権力との関係
6 チベット仏教のモンゴル化と宗教弾圧
第2章 内モンゴル自治区
1 バディゲル・ジョー
2 シャルリク寺
3 シベル寺
4 ハリュート寺
5 シニ・スゥメ寺
6 パンチェン寺
7 ゲゲーン・スゥメ寺
8 ゲルベルジョー寺
9 アルジャイ石窟とバンチン・ジョー寺
10 ハラガムト寺
11 ザンダンジョー寺
12 ワンギン・ゴリーン・ジョー寺
13 メーリン・スゥメ寺
14 ウーシンジョー寺
15 ディヤン寺
16 ジュンガル・ジョー寺
17 ドハイン・ジョー寺
18 シャルムレンジョー寺とシレートジョー寺
19 ウーラン・スゥメ寺
20 グンギーン・ジョー寺
第3章 新疆ウイグル自治区
1 ブルハン・バグシン・スゥメ寺
2 シャル・スゥメ寺
第4章 寧夏回族自治区
1 同心県元朝仏寺
2 石空寺黄寺
第5章 山西省
五台山
第6章 青海省
ダザン・キイト寺
第7章 モンゴル国
1 エルデニ・ジョー
2 タリヤーティン・クレー
3 アマルバイスガラント寺
4 バルダン・ベルベンリン寺
5 バルーン・クレー寺
第8章 ロシア連邦
1 トブデンチョイホルリン寺
2 イヴォルガ寺
第9章 「天たる火の大いなる祭祀と招福儀礼の書」(サイン・ホビト)
はじめに
1 モンゴルの拝火祭用テキスト
2 ローマ字転写と日本語試訳
第10 章 資料
1「ウーシン旗の最初の寺・ラシラバダンリンの略史」
2「聖白傘蓋仏母という大乗経典。総括とお返し(回折)の賛歌」
3「無敵の聖白傘蓋仏母の大いなるお返し(回折)の陀羅尼」
あとがき
索引
写真・図表一覧
内容説明
かつて1900を数えた寺院はイデオロギーの暴風によりほぼ廃墟と化し、東洋学の根幹をなした学問寺の伝統は僧侶の努力でかろうじて守られているのみ。
本書は、30年にわたる著者の現地調査・聞き取りの成果と貴重な写本資料を満載、まさに「廃寺の民族誌」そして「僧侶の民族誌」である。
*********************************************
本書は、廃寺の民族誌である。モンゴルの仏教寺院を書名としているが、厳密にいうと、ほとんどが廃墟である。あるいは廃墟を利用しているか、廃墟のうえで再生しつつあるか、である。それほど、中国共産党による支配と、ソ連型社会主義の宗教弾圧は厳しかった結果である。
モンゴルの寺院は基本的に学問寺であった。僧侶たちがチベット語とサンスクリットで哲学と医学、それに天文学について学び、議論する場であった。学問は信者たちの現生利益に応える必要があり、そこから文学と演劇、病気治療と占星術が誕生した。こうした学問の成果は木版本と手写本の形式で民間にも広がり、国際的に東洋学の主流を成すように発展していった。したがって、モンゴルの仏教について研究した既往の成果もほとんどが文献学であった。文献学は、世界各地に伝わる豊富な文字資料によって支えられてきたが、当事者の僧侶へのインタビューは急務であった。本書の中で、寺院に関する知識(縁起)と宗教的・学問的実践についての見解はすべて僧侶からの情報に依拠している。そういう意味では、僧侶の民族誌でもある。
学問寺の特徴を今に伝えているのは木版本と手写本である。本書も極力、そうした特徴を生かそうとして、木版印刷の実態について記録(実践)し、写本の実物と内容について記述を試みた。総じていえば、東洋学の伝統と人類学の得意とする現地調査を結合させた成果である。
*********************************************
編者紹介
楊 海英(Yang Haiying)
1964 年、中国内モンゴル自治区オルドス生まれ。総合研究大学院大学修了、博士(文学)。専攻、文化人類学。
現在、静岡大学人文社会科学部教授。
主な著書として、『草原と馬とモンゴル人』(日本放送出版協会、2001 年)、『チンギス・ハーン祭祀―試みとしての歴史人類学的再構成』(風響社、2004 年)、『モンゴル草原の文人たち―手写本が語る民族誌』(平凡社、2005 年)、『モンゴルとイスラーム的中国―民族形成をたどる歴史人類学紀行』(風響社、2007 年)、『モンゴルのアルジャイ石窟―その興亡の歴史と出土文書』(風響社、2008 年)、『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(上・下2009 年、続 2011 年、岩波書店)、『植民地としてのモンゴル―中国の官制ナショナリズムと革命思想』(勉誠出版、2013 年)、『中国とモンゴルのはざまで―ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(岩波書店、2014 年)、『ジェノサイドと文化大革命―内モンゴルの民族問題』(勉誠出版、2014 年)、『チベットに舞う日本刀―モンゴル騎兵の現代史』(文藝春秋、2014 年)、『逆転の大中国史』(文藝春秋、2016 年)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」―いまなお続く中国文化大革命』(集広舎、2016 年)、『「知識青年」の1968 年―中国の辺境と文化大革命』(岩波書店、2018 年)、『最後の馬賊―「帝国」の将軍・李守信』(講談社、2018 年)、『モンゴルの親族組織と政治祭祀―オボク・ヤス(骨)構造』(風響社、2020 年)主な編著に『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料』1 〜 12(風響社、2009 年〜 2020 年)など多数。
本書は、30年にわたる著者の現地調査・聞き取りの成果と貴重な写本資料を満載、まさに「廃寺の民族誌」そして「僧侶の民族誌」である。
*********************************************
まえがき
本書は、廃寺の民族誌である。モンゴルの仏教寺院を書名としているが、厳密にいうと、ほとんどが廃墟である。あるいは廃墟を利用しているか、廃墟のうえで再生しつつあるか、である。それほど、中国共産党による支配と、ソ連型社会主義の宗教弾圧は厳しかった結果である。
モンゴルの寺院は基本的に学問寺であった。僧侶たちがチベット語とサンスクリットで哲学と医学、それに天文学について学び、議論する場であった。学問は信者たちの現生利益に応える必要があり、そこから文学と演劇、病気治療と占星術が誕生した。こうした学問の成果は木版本と手写本の形式で民間にも広がり、国際的に東洋学の主流を成すように発展していった。したがって、モンゴルの仏教について研究した既往の成果もほとんどが文献学であった。文献学は、世界各地に伝わる豊富な文字資料によって支えられてきたが、当事者の僧侶へのインタビューは急務であった。本書の中で、寺院に関する知識(縁起)と宗教的・学問的実践についての見解はすべて僧侶からの情報に依拠している。そういう意味では、僧侶の民族誌でもある。
学問寺の特徴を今に伝えているのは木版本と手写本である。本書も極力、そうした特徴を生かそうとして、木版印刷の実態について記録(実践)し、写本の実物と内容について記述を試みた。総じていえば、東洋学の伝統と人類学の得意とする現地調査を結合させた成果である。
*********************************************
編者紹介
楊 海英(Yang Haiying)
1964 年、中国内モンゴル自治区オルドス生まれ。総合研究大学院大学修了、博士(文学)。専攻、文化人類学。
現在、静岡大学人文社会科学部教授。
主な著書として、『草原と馬とモンゴル人』(日本放送出版協会、2001 年)、『チンギス・ハーン祭祀―試みとしての歴史人類学的再構成』(風響社、2004 年)、『モンゴル草原の文人たち―手写本が語る民族誌』(平凡社、2005 年)、『モンゴルとイスラーム的中国―民族形成をたどる歴史人類学紀行』(風響社、2007 年)、『モンゴルのアルジャイ石窟―その興亡の歴史と出土文書』(風響社、2008 年)、『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(上・下2009 年、続 2011 年、岩波書店)、『植民地としてのモンゴル―中国の官制ナショナリズムと革命思想』(勉誠出版、2013 年)、『中国とモンゴルのはざまで―ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(岩波書店、2014 年)、『ジェノサイドと文化大革命―内モンゴルの民族問題』(勉誠出版、2014 年)、『チベットに舞う日本刀―モンゴル騎兵の現代史』(文藝春秋、2014 年)、『逆転の大中国史』(文藝春秋、2016 年)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」―いまなお続く中国文化大革命』(集広舎、2016 年)、『「知識青年」の1968 年―中国の辺境と文化大革命』(岩波書店、2018 年)、『最後の馬賊―「帝国」の将軍・李守信』(講談社、2018 年)、『モンゴルの親族組織と政治祭祀―オボク・ヤス(骨)構造』(風響社、2020 年)主な編著に『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料』1 〜 12(風響社、2009 年〜 2020 年)など多数。