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民俗文化の再生と創造
東アジア沿海地域の人類学的研究
発展著しい沿海地域において、「古い」民俗文化が再活性化しつつある。「中心」と「周縁」文化との関係性について再考。
| 著者 | 三尾 裕子 編 |
|---|---|
| ジャンル | 人類学 報告書・報告論集 |
| シリーズ | アジア研究報告シリーズ |
| 出版年月日 | 2005/03/20 |
| ISBN | 9784894898042 |
| 判型・ページ数 | A5・276ページ |
| 定価 | 本体3,000円＋税 |
| 在庫 | 在庫あり |
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目次
序・東アジア沿海地域における「民俗文化」の意味
──二〇世紀末における再生・創造 三尾裕子
宗族社会と民間信仰
──三つの客家村落における民間信仰の人類学的考察
トウ曉華・楊翊（ウチラルト・三尾裕子訳）
ヴィエトナム北部の女神信仰──成長する信仰 田村克己
韓国の民俗祝祭における行政の視点と住民の認識 伊藤亞人
クヴァラン民俗文化の再生における二面性
──一九八〇年代・一九九〇年代の動向に関する考察 清水 純
東北ベトナムにおけるヌン族・ヌンアン集団の
祭祀職能者 “タオ” に関する民俗学的研究 Chu Xuan Giao（小川有子訳）
年齢意識と意思決定──ベトナムと韓国 李 鎮 栄
ベトナムにおける〈土地神〉の変容のきざし──南から北へ 末成道男
珠江デルタ西部地域における宗族，械闘，海外移住 瀬川昌久
中国民間信仰のダイナミズム──道教との関係 三尾裕子
ベトナム南部・ソクチャン省Ｄ村における親族集団と民族範疇
──「クメール人」のプム（phum）の形成過程から 中西裕二
一九七五年以降のベトナム南部の少数民族に関する研究状況
ファン・アン（今村宣勝訳）
あとがき・索引
──二〇世紀末における再生・創造 三尾裕子
宗族社会と民間信仰
──三つの客家村落における民間信仰の人類学的考察
トウ曉華・楊翊（ウチラルト・三尾裕子訳）
ヴィエトナム北部の女神信仰──成長する信仰 田村克己
韓国の民俗祝祭における行政の視点と住民の認識 伊藤亞人
クヴァラン民俗文化の再生における二面性
──一九八〇年代・一九九〇年代の動向に関する考察 清水 純
東北ベトナムにおけるヌン族・ヌンアン集団の
祭祀職能者 “タオ” に関する民俗学的研究 Chu Xuan Giao（小川有子訳）
年齢意識と意思決定──ベトナムと韓国 李 鎮 栄
ベトナムにおける〈土地神〉の変容のきざし──南から北へ 末成道男
珠江デルタ西部地域における宗族，械闘，海外移住 瀬川昌久
中国民間信仰のダイナミズム──道教との関係 三尾裕子
ベトナム南部・ソクチャン省Ｄ村における親族集団と民族範疇
──「クメール人」のプム（phum）の形成過程から 中西裕二
一九七五年以降のベトナム南部の少数民族に関する研究状況
ファン・アン（今村宣勝訳）
あとがき・索引
内容説明
発展著しい沿海地域において、逆に「古い」民俗文化が再活性化しつつある現象に着目。中華文明に象徴される「中心」と「周縁」文化との関係性について再考。その動態や文化の個別化・画一化の相互作用等に、多様な事例から迫る。
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序
……近年では、こうした中央の正統とされた文化に対する周縁化された文化という枠組みが変容する可能性が見られるようになった。例えば社会主義国における市場経済の導入、経済を中心としたグローバル化は、国民国家の地理的或いは政治的な境界といった枠組みを越えたあるいはそれによって生み出される両側の格差ないし同質性を糸口にした関係性の構築でありである。また、このような境界をまたがる人々の相互行為の蓄積が、新たな地域アイデンティティを生み出す、といった現象もみられよう。
しかし、こうした極めて現代的な現象に対する研究は、これまで本格的な考察の対象とはされていない。もちろん、個別社会についての社会・文化的な変動についての研究は行われているが、これを東アジアという広い枠組の中で、捉え、比較し、理論的な分析を可能とする方法論を構築する事が早急に求められている。
そこで、本書では、中国文明圏に属してきた広義の東アジア沿海部における最近の社会変動に関し、文化人類学的な現地調査により、以下の二点を解明することを目的とした。第一に、近代化、経済のグローバリゼーションの中での地方民俗文化の再創造過程及びその特徴を明らかにすること、第二に再活性化した民俗文化と中華文明のグローバリゼーションとの相互関係、即ち文化の中心─周縁関係の変容または文化の個別化と画一化の間の相互作用の分析を行うこと、である。
文化人類学的研究の利点は、これらの現象をミクロな社会レベルから捉える点である。即ち、経済・政治的な動態や正統的中華文明などをマクロな視点からのみ把握しようとしても、人々の生活に根ざした社会変動は見えてこない。本研究は、ミクロなデータを、より広い社会的・歴史的脈絡と連関させることで、文化の動態研究に寄与するものと考える。……（序論より）
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著者・訳者紹介
三尾裕子 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
トウ曉華 廈門大学人類学博物館副館長
華中科技大学教授助教授
楊翊 シンガポール大学大学院博士課程
ウチラルト 一橋大学大学院博士課程
田村克己 国立民族学博物館教授
伊藤亞人 東京大学大学院総合文化研究科教授
清水 純 日本大学経済学部教授
Chu Xuan Giao ベトナム社会科学院文化研究所研究員
東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程
小川有子 東京大学大学院人文科学研究科博士後期課程
李 鎮 栄 名桜大学国際学部教授
末成道男 東洋大学社会学部教授
瀬川昌久 東北大学東北アジア研究センター教授
中西裕二 福岡大学人文学部教授
Phan An ホーチミン市社会科学院人類学・宗教学研究所教授
今村宣勝 東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程
